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科学技術振興機構(JST)・社会技術研究開発センター(RISTEX)研究開発プログラム「科学技術と社会の相互作用」地域主導型科学者コミュニティの創生
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レジデント型研究機関
レジデント型研究機関とは?

 レジデント型研究機関とは、地域社会の中に定住して研究を行う研究者を擁する大学、研究所などで、地域社会の課題に直結した領域融合的(トランスディシプリナリー)な研究を行い問題解決に貢献することを、その使命として明瞭に意識しているものを言います。

レジデント型研究機関の研究者は、地域課題の固有性に対応した問題解決型の知識生産に変容してきましたこれは、レジデント型研究機関の研究者が専門家として科学知を生産すると同時に、生活者として在来の文化・価値観を共し、地域の未来に関与する当事者・ステークホルダーでもあることと関係していると思われます。科学者としてだけでなく、地域社会の中で多様な役割を果たす立場にあることが、地域に固有の状況に対応した問題解決型の研究につながるのです。

レジデント型研究者は、各地で知識生産の主体として重要な役割を果たしている市民調査に、科学的基盤を提供しています。また。他の研究主体(訪問型研究者、市民調査の実施者など)と様々な形で協働してきました。もちろん、自らも地域のステークホルダーの一員として、多様なステークホルダーとの協働も行っています。


潜在的レジデント型研究機関

日本各地の潜在的なレジデント型研究機関には、以下のようなものがあります。

地方大学、大学付属施設(長野大学など)
自治体・NGOなどの研究施設(兵庫県立コウノトリの郷公園など)
博物館、動物園水族館 (滋賀県立琵琶湖博物館など)
農業試験場、水産試験場
生物多様性センター野生生物保護センター
自然観察・野外体験施設


これらの多様なレジデント型研究機関が、地域社会のステークホルダーとの多様な相互作用を通じて、どのように問題解決型の知識生産へ変容してきたか、その実態を把握する必要があります。レジデント型研究機関が地域の環境問題の解決に貢献できる知識生産の主体として機能する要件を解明する必要もあります。さらに、環境問題への取り組みの現場で実際におこっておる多様なステークホルダーと科学者の相互作用の実態を明らかにし、生産的な協働のありかたを検討することが重要です。

ステークホルダーと多様な知識生産主体との協働

地域社会の外の大学や研究機関からやってきて研究を行う「訪問型研究者」は、これまでも地域社会における環境問題の解決に役立つ多様な知識を生産してきました。訪問型の研究者は、地域社会の自然環境にかかわる伝統や文化、地域に固有の問題状況、地域の未来に対する責任を共有するわけではなく、予定された研究期間が終了すれば地域社会とのかかわりは薄れます。訪問型研究者が体現する「普遍的知識」は、そのままでは地域に固有の問題解決に活用されにくいことが多いでしょう。

レジデント型研究機関の研究者は、地域社会の一員として生活しながら、専門家として科学知の生産と地域に固有の伝統的知識・技術や価値観との融合を促進します。同時に、ステークホルダーの一員として地域社会の未来に対する責任を共有し、生活者として地域環境に対する誇りと愛着を体現して、地域社会の意思決定に関与します。長期的な視野に立って地道に地域の自然環境と生態系サービスをモニターするのにも最適です。しかし、レジデント型研究機関だけで地域社会の中で生起するさまざまな分野の問題すべてに対応することは困難であり、多様な分野の訪問型研究者との補完的な協働が不可欠です。

地域社会の多様なステークホルダーが自ら環境問題にかかわる専門的な調査を行う市民調査は、地域社会に固有の問題構造を反映した知識生産のあり方として、また、長期間にわたるモニタリングを継続できる手法として、ますます重要性を増しています。しかし、市民調査の主体が地域環境の保全と地域社会の持続的発展のための順応管理のプロセスを設計し、管理していくだけの高度な専門性を獲得することは困難です。

レジデント型研究機関、訪問型研究者、市民調査の実施主体などが相互作用しながら、地域社会の多様なステークホルダーと協働して環境問題の解決に向けた知識生産を行うことによって、科学者コミュニティの研究スタイルが問題解決型へと変容することを促すことができます。

 

© 2008 JST地域主導型科学者コミュニティ創生プロジェクト