地域環境学ネットワークを基盤として、ステークホルダーと科学者の協働のガイドラインと研究成果の評価手法を検討していきます。協働のガイドラインは、地域社会の環境問題への取り組みにおける順応管理のプロセスの中で、科学者とステークホルダーが生産的な協働を行い、問題解決型の知識生産が継続することを保証することを目指すものです。問題解決型の研究の評価システムは、順応管理のプロセスに必要な研究評価の各段階にステークホルダーが参加する評価手法と、ガイドラインに基づく科学者とステークホルダーの生産的な協働の評価システムから成ります。
ステークホルダーと科学者の協働のガイドラインの設計では、以下の点に留意して検討を進めていきます。
・順応管理とリスク管理のための科学的基盤の確立
・地域環境の長期的なモニタリング体制の確立
・地域固有の問題構造・伝統文化・意思決定システムなどとの整合性
・ステークホルダーとの協働による研究体制と研究成果の共有
・研究成果の問題解決に向けた有効性の検証システム
ステークホルダー参加型の研究評価は、順応管理のプロセスの中のさまざまな段階でステークホルダーが参加する研究評価評価と、ガイドラインに基づいたステークホルダーと科学者の協働のプロセス自体の評価からなります。従来型の研究論文や論説などだけでなく、地域社会に実装された順応管理システム、従来の科学評価になじまない継続的なモニタリングなどを評価対象として、問題解決への実効性まで含む「役に立つ知識の生産」を評価します。
ネットワークを拡大・深化させて活動が活性化し、協働のガイドラインと問題解決型研究の評価を広く普及していきます。ネットワークで共有された情報を活用して地域に固有の科学と社会の相互作用が活性化され、地域の現状に則した問題解決に貢献する知識生産が行われることを促します。これによって、ステークホルダーと協働した環境問題解決のための地域環境研究を推進する新しい科学者コミュニティが形成され、問題解決に貢献する地域に固有の研究成果が正当に評価されることによって、科学者コミュニティの変容が持続することをめざします。
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